日本の地方競馬で“唯一無二”の存在 ―― 盛岡競馬場
地方競馬ファンの間で「一度は現地で見てみたい競馬場」として名前が挙がるのが、岩手県盛岡市にある盛岡競馬場だ。その理由は極めて明確で、日本の地方競馬場で唯一、芝コースを備えている競馬場だからである。
中央競馬(JRA)では芝競走が当たり前だが、地方競馬ではダートのみが主流。その常識を覆す存在が盛岡競馬場であり、ここでは芝とダート、二つのコースが共存している。地方競馬でありながら、まるで中央競馬場のようなレースが行われるという独特の魅力を持つ競馬場だ。
本記事では、盛岡競馬場の歴史やコース特徴、代表的な重賞レース、そして馬券を購入する際に知っておきたい攻略ポイントまで、コラム風にじっくりと紹介していく。
盛岡競馬場の基本情報と歴史
盛岡競馬場は岩手県盛岡市新庄に位置し、岩手競馬(盛岡・水沢)の主場のひとつとして長年親しまれてきた。開設は1973年。地方競馬場としては比較的新しい部類に入るが、その後の進化は目覚ましい。
最大の転機は1996年の大規模改修である。この改修によって、地方競馬場としては前例のない芝コースの新設が実現した。これにより盛岡競馬場は、日本全国を見渡しても非常に珍しい「芝・ダート併設競馬場」となった。
この芝コースの存在は、単なる話題性に留まらず、中央競馬からの遠征馬や交流重賞のレベル向上にも大きく貢献している。
盛岡競馬場のコース構成|芝とダート、2つの顔を持つ競馬場
ダートコースの特徴
盛岡競馬場のダートコースは、1周1,600mの左回り。地方競馬場としては比較的スケールが大きく、直線も約300mと長めに取られている。
砂質はパワー型というよりは軽めで、スピードを活かした走りが求められる傾向がある。そのため、単純な先行有利ではなく、差し・追い込みも決まりやすいのが盛岡ダートの特徴だ。
また、高低差が少なくフラットな構造であるため、コース巧拙よりも純粋な能力差が結果に反映されやすい。
芝コースの特徴
盛岡競馬場最大の個性が、この芝コースである。1周1,600mの左回り芝コースは、地方競馬では唯一無二の存在だ。
芝の質は比較的クッションが良く、中央競馬に近い走行感と評されることも多い。そのため、JRA所属馬や、中央から地方に転入した馬が能力を発揮しやすい舞台となっている。
一方で、地方馬の中でも芝適性が高い馬が見つかれば、馬券的な妙味は非常に大きい。芝レースは開催数が限られている分、適性の見極めが重要になる。
盛岡競馬場の名物重賞レース
マイルチャンピオンシップ南部杯(JpnⅠ)
盛岡競馬場を全国区に押し上げた最大のレースが、マイルチャンピオンシップ南部杯だ。
JRAと地方競馬の交流重賞として行われるこのレースは、ダート1600mで実施され、日本を代表するダートマイラーが集結する。過去には中央競馬のトップホースが数多く参戦し、レベルの高い激戦が繰り広げられてきた。
盛岡の広いコースと長い直線は、実力馬が堂々と力を発揮できる舞台であり、地方競馬ファンだけでなく中央競馬ファンからも注目度が高い。
ダービーグランプリ
3歳ダート路線の頂点を決める一戦として位置づけられてきたのがダービーグランプリ。現在は開催形態に変化があるものの、盛岡競馬場といえばこのレースを思い浮かべるファンも多い。
若駒たちが広い盛岡ダートで激突する姿は、地方競馬の未来を感じさせる名場面を数多く生んできた。
岩手の伝統重賞
そのほかにも、シアンモア記念、桐花賞(※水沢開催だが盛岡と深い関係)、青藍賞など、岩手競馬独自の重賞路線が存在する。これらのレースを通して、盛岡競馬場は「地方競馬のレベルの高さ」を体現する存在となっている。
盛岡競馬場の馬券攻略ポイント
ダートは「脚質バランス」が重要
盛岡ダートでは、単純な逃げ・先行一辺倒では通用しない。直線が長く、最後までスピードを維持できる馬が有利だ。そのため、好位差しタイプや、終い確実な差し馬には常に注意したい。
展開次第では追い込みも届くため、ペース読みが馬券の鍵を握る。
芝レースは適性重視
芝レースでは、過去に芝実績がある馬、あるいは中央競馬で芝を使われていた経歴のある馬が狙い目になる。ダート実績だけで判断すると痛い目を見ることも多い。
開催数が少ないからこそ、血統や調教内容まで含めてじっくり検討したい。
交流重賞は中央勢が基本
南部杯などの交流重賞では、やはり中央競馬所属馬が中心となる。ただし、盛岡巧者の地方馬が馬券圏内に食い込むケースもあり、ヒモ荒れには注意が必要だ。
現地観戦の魅力と盛岡競馬場の雰囲気
盛岡競馬場は自然に囲まれたロケーションも魅力のひとつだ。晴れた日の芝コースは非常に美しく、地方競馬場とは思えない開放感がある。
スタンドからの視界も良好で、初心者でもレースの流れを把握しやすい。ファミリー層からコアな競馬ファンまで幅広く楽しめる空間が整っている。
盛岡競馬場は“地方競馬の可能性”を体現する存在
盛岡競馬場は、単なる地方競馬場ではない。芝コースを持ち、中央競馬との交流を積極的に行い、全国レベルのレースを開催する――その姿は、地方競馬の未来を示すモデルケースとも言える。
ダートだけでなく芝も楽しみたい、中央競馬とは違う視点で競馬を味わいたい。そんなファンにとって、盛岡競馬場は間違いなく一度は注目すべき競馬場だ。
地方競馬の奥深さと可能性を体感できる場所、それが盛岡競馬場なのである。



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